pgrobertのブログ

好きな音楽や美術について。ときどき脱線。

ポルノグラフィティの配信ライブを観た。

〈以下、ネタバレ感想を含みます。〉



「CYBERロマンスポルノ'20 ~REUNION~」、アーカイブ配信で観ました。その配信の期限も切れたので、感想を書きたいなと。

まずはセトリから。

1. アポロ
2. オー!リバル
3. 星球
4. ワンモアタイム
5. 2012Spark
6. リビドー
7. ヴォイス
8. シスター
9. ルーズ
10. カメレオン・レンズ
11. 海月
12. アゲハ蝶
13. Hard Days, Holy Night
14. VS
15. ハネウマライダー
16. 一雫

アンコール
17. REUNION
18. ジレンマ

以下、簡単に感想です。

1. アポロ

出だしから
「僕らが生まれてきて半世紀後の世界 サイバー空間であなたとつながりたい」
……まさか替え歌でくるとは……
大サビ前の恒例の歌詞が変わる部分は
「ラブ・E・メール・フロム……
        会いたかったぞEverybody!」

2. オー!リバル

「3さい」シングルの最終作だからかサイとは切っても切れないこの曲。神vs神ではサイを模したカートに乗りながら歌っていましたが、今回はARでサイが登場。しかも火を噴き出すわ、リアル晴一が顔を踏まれるわ。笑
かと思えば、昭仁と晴一を模した人型ARも登場。たくさんのバーチャル昭仁がスクリーンの中で歩いて、その手前でバーチャル晴一がギターを弾いてたのはPVの再現だったのかな?

3. 星球

曲の雰囲気そのままにものすごい「キラキラ感」。
ARもなんかすごい。(語彙力皆無)


MC。「わしらがポルノグラフィティじゃ!」のくだり。
会場の人たちが笑ったリできないから、滅多に話さないスタッフからMC大変ですよと言われたそうな。笑
「(今日は)つながってつながって一つになって、考えたらネガティブになることをポジティブに変えて、新しいエンターテインメントを作り出す歴史の証人になってくれ!」
とMCが終わり、繰り出されたのは……

4. ワンモアタイム

希望を歌うこの曲。
「明日の行方を遮る〝権力〟達」って歌ってた?
ラストサビ、「心と心が繋がった時に」のところで連打されるドラムがすごく気持ち良かった。
「優しさにぬくもりに/救われて歩き始めた/誰かへ 同じように返したい/忘れたくない」「心と心が繋がった時に/きっと新しい明日の風が吹き/背中を押してくれる」この部分、彼らの気持ちと重なってるのかな?

5. 2012Spark(ver.2020)

ワンモアタイムが終わって間発入れずに始まったこの曲、歌詞がホント今の状況にぴったりすぎる……「襲ってくる刀を避けて『2020』の街に生きる」しかないし、「それでも俺達の場所は『2020』の街にしかない」んだけど、最終的には「俺達の為の時代だと得意げな顔をして言い切ろう」という自己肯定に救われる。しかも「立ち回り入り乱れ食らいつく」のは「BIG / LARGE SPARK」じゃなくて「LITTLE SPARK」なんですよね。すごくミニマルなところでこの状況に立ち向かっていこうという意思表明も刺さる。
そして「気楽なアプリが画面を埋め尽くす」こと2回。笑

そういえば、ワンモアタイムも2012Sparkも、DISPATCHERSの特別配信で昭仁が弾き語ってましたね。

6. リビドー

ここで来るとは思わなかったリビドー!

7. ヴォイス

神vs神ではメドレーの一部だったけど、今回はフルサイズ。
激しい曲が続いたぶん、クールダウン。
「そうさ誰かに逢いいたくて逢いたくて逢いたくて/僕は此処に来たんだ」が彼らの思いとシンクロしてる?


ヴォイスの後のMC、新しいメンバーの紹介の後、この1年3ヶ月一体何をしてた?という話に。晴一はロンドン留学で人気者だった(ロッキンの映像のおかげ、らしい)一方、昭仁もロスに行く予定だったのがキャンセルになったとか。

それを聞いた晴一:
岡野のくせに生意気な
それに対し昭仁:
そんなこと言うたら新藤のくせにロンドンじゃないか

そしてロスに行けなくなってカブトムシを育てることになった、ってそこの因果関係は?笑
で、「僕らも久しぶりにポルノグラフィティとしてREUNIONしているので、色んな曲をREUNIONしたいと思います」と始まったのが……

8. シスター

二人になって(=三人から二人にREUNIONして)最初のシングルを持ってくるというのも、何かの決意のようなものを感じるのは深読みしすぎ?
イントロやアウトロのメロディのアレンジが気持ち良かった。
スクショ忘れちゃったけど、ここでもPVの再現(スクリーンに光の木)をしてましたね。そして地味に隅っこの方で歌詞がローマ字で表示されてました。

9. ルーズ

久々に聞けて嬉しかった。初参戦だったLEMFで聞いた思い出の曲というのもありますが。

10. カメレオン・レンズ

ARの演出がこれまたすごすぎた……縦横無尽に空間に広がる歌詞、歌詞、歌詞。
UNFADEDの時の、イントロで切り替わりながら縦に光が落ちていく演出も好きでしたけど、今回も素敵な演出。

11. 海月

カメレオン・レンズから海月の流れは完全にUNFADED。
これまたARが半端じゃなくて……
「ここにいることだけは 忘れないでと放つ光」これも、彼らの思い?



12. アゲハ蝶

「我々は拍手にも魂を込められるということを再認識した」というMCの晴一の言葉が上手い導入になってて素敵でした。
そしてTwitterで募集したメッセージがそれぞれ蝶になって会場を埋め尽くすという演出……最高か。
「あなたに逢えた それだけでよかった」これまた、彼らの思い?

13. Hard Days, Holy Night

12月のライブといえばこれ!

14. VS

最後に神vs神のロゴを映し出したのは「連続性」の強調かな?
あの時とはまた違って聞こえた。


ここで昭仁のMC。
「1年3ヶ月も表立って活動していないポルノグラフィティ、普通なら見放してもいいはずなのに、今日会場に来てくれてる、配信見てくれてる、本当にありがたい。ポルノグラフィティの歯車を動かしてくれて、そして遠くまで運んでくれるのは君たち、そんな君たちと遠くまで行きたいからこれからもよろしくね」

15. ハネウマライダー

そしてピアノだけのバラード調アレンジでサビのみ昭仁と晴一で歌唱……からのガッツリ歌唱。
バラードのハネウマライダー……その前の話も相まってすごくグッときました。
相変わらずハンドル切るどころか正拳ついてる昭仁。笑
「他の誰かと……いや、この時間を共有しているお前らと! 歯車が噛み合って時間を刻む」
またこれもジーンとくる。

16. 一雫

そしてこの流れで一雫は反則すぎる……そう、「時間は距離じゃない」んだよな……


アンコール
「この1年3ヶ月でネガティブになってしまった人もいるかもしれないけど、今日のこのライブでまた力強い一歩が踏み出せたらいい、そしてそんな思いを込めて作った新曲」
そんな前フリで始まった新曲……

17. REUNION

言葉にならないくらい格好良い……ここに来てこんな曲を作れる彼らは化け物か……リリース予定がないらしいのが本当にもったいない。



そしてメンバー紹介、その後のコメント……
晴一「価値観の変化とかあったと思うけど、今日わかったのは会いたいと思えばどうやってでも会える。これから先もきっとお互いに会いたいと思ったらどこかで会えるはずなのでコロナに負けずやりぬいていきましょう」
昭仁「大変なエンターテインメントの危機の中ですごい気合・気概をもって今日のステージを作り上げてくれたスタッフに大きなエールを!
今日から新しいものを、新しい世界を作り上げていこう、また力強い一歩を踏み出して、これからも頑張っていきたい。ポルノグラフィティ、全盛期はこれからです」

18. ジレンマ

UNFADED、神vs神とラストはライラだったけど、今回ジレンマだったのもREUNIONってことなのかな?
上着が脱げなくてスタッフに手伝ってもらった昭仁、可愛すぎか。笑


最後の恒例生声挨拶。
晴一「今日は会えて嬉しかった」
昭仁「今日はホンマに会えて嬉しかった。そしてまた会おう」


昭仁は「1年3ヶ月表立って活動していない」と言うけど、DISPATCHERSの配信とかあったし、カフェイレでの二人の共演もあったし、「待たされた感」はあまりなかったような気がします。
そしてとにかくファンに感謝を伝え「会えて嬉しかった」の連呼、演奏中のとても嬉しそうな顔……神vs神の感想でも書きましたが、そうやってファンを大切にしてくれる彼らに改めて惚れ直した次第です。

スペイン風邪が流行ってたとき……

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今からちょうど100年ほど前、欧米諸国で猛威を振るっていたスペイン風邪
上の画像はその最中の1918年11月25日、アラスカの新聞"Douglas Island News"に載ったものらしいのですが、

インフルエンザ予防のための注意事項

・マスクの着用
・清潔で健康な生活を送ること
・毛穴を開いたままにすること―頻繁に入浴する
・食事の前の手洗い
・昼も夜も大量の新鮮な空気の中で生活すること
・暖かくすること
・睡眠量の確保
・頻繁に(外出後はいつでも)食塩水でうがい(8オンスのグラス1杯に食塩小さじ1/2)
・初期症状を医師に速やかに伝えること
・防疫規制を尊重すること
・人ごみを避けること――インフルエンザには、感染した人の近くにいる時にだけかかる
・鼻をすすったり咳をしたりしているひとを避けること
・マスクをつけ忘れないように
・理解できないからと専門家の忠告を無視しないように
・コミュニティの権利を無視しないように――当局によって出されたルールには喜んで従うこと
・特権を持つ資格があると考えないように
・風邪をひいていたり熱があったりするなら他人の近くに寄らないこと――彼らをインフルエンザそして死にさらすかもしれない。医者の診察を。
・インフルエンザに感染したり感染させたりすることが不可能だと考えないように
・手を口から離すこと
・開かれたところでせきやくしゃみをしないこと
・公共のタオルやコップを使わないこと
・病人の元を訪ねたり、病室にあった家具を扱ったりしないこと
・心配するな。


こうして見ると、スペイン風邪流行期のこの注意は今のコロナ禍にあっても通じるものがあります。
他にも当時の新聞や広告などでこうしたものがないかを色々調べてみました。


・行動抑制系

最初に紹介した"Douglas Island News"もそうですが、「インフルエンザを防ぐためにしてはいけないこと(するべきこと)」系はかなりたくさん見つかりました。


まずは、1918年9月21日の"The Sun"*1から。

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インフルエンザでの一部禁止事項

健康局はスペインのエピデミックの拡散を防ぐだろう(AP通信による)

セントルイス、9月20日――咳したり、くしゃみしたり、唾を吐いたりキスしたりしないこと。
簡単に言えば、これは、現在東部といくつかの郡の宿営地で流行しているスペインのインフルエンザのエピデミックを防ぐための保健局の勧告だ。
予防措置として、次の「禁止事項」のリストが発行されている。

「ハンカチが口を保護しない限り、咳やくしゃみをしないこと」
「公共の場所、または家の周辺で唾を吐かないこと」
「インフルエンザにかかっている場合は、他の誰とも一緒に部屋で寝ないこと」
「家族のメンバー、特に赤ちゃんにキスをしないこと」
マットレスが適切に空気にさらされ、日光にさらされていない限り、誰もあなたのベッドを占有しないようにすること」
「インフルエンザにかかっている場合は、誰にもあなたを訪ねさせないこと」
「あなたが病気に苦しんでいるならば、あなたの家族の誰もがあなたが使っていたのと同じタオル、飲用容器または食器を使用することを許可しないこと」


次は、1918年12月11日"The Milwaukee Journal"より。
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インフルエンザ予防のためのルーラント医師の規則

可能であれば、歩いて通勤する
咳やくしゃみをする人を避ける
咳やくしゃみをするときはハンカチで鼻や口を覆う
食事の前に手を洗う
昼も夜も新鮮な空気をたっぷりと吸う
共用のタオルは使用しない―病気が広がる
混雑した場所に近づかない
おいしい、普通の食べ物をたくさん食べる
健康には睡眠が必要―過度の努力は避ける
インフルエンザの症例がある家には近づかない
病気の場合は、どんなに軽くても、医師の診察を受ける
もしインフルエンザにかかったら、医師が安全に起き上がることができると言うまでベッドにいる
心配は有害です―心を落ち着かせてください

ジョージ・C・ルーラント(医学博士)
ウィスコンシン州ミルウォーキー保健委員

上記の一連のルールを注意のカテキズムにする

これはあなたの戦いです!あなたの役割を果たしてください!

次は、掲載誌は分からないものの、注意広告。

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自分を救おう
インフルエンザや
肺炎、悪い風邪、はしか
結核ジフテリアデング熱
百日咳、髄膜炎おたふく風邪 から

2つの簡単なルールに従おう

ルール1

咳やくしゃみをするときはいつでも、頭を下げたり、ハンカチを口や鼻にかけたりすること。

ルール2

指や鉛筆など、そこに属さないものを口に入れたり、共用の飲用コップを使用したりしないこと。

《安全》
咳やくしゃみをするときはハンカチを使う
もしくは頭を地面に向ける

《危険》
鉛筆や指を口に入れない
共用の飲用カップを使用しない
または他の人に向かって空気中に咳やくしゃみをしない

これらの病気の病原菌は、病気の人や保菌者の口や鼻の分泌物を通して広がります。

バージニア州保健委員会による提供

ウィスコンシンのとある工場に掲示されていたらしい注意書き。

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「インフルエンザ」が増加している

誰もこの病気の原因を知らない
フランスで失われた軍隊の2倍もの人が去年アメリカで亡くなっている

もし安全でいたいなら

1.病気の人から離れること、特に咳やくしゃみをしていたら
2.咳やくしゃみをするときはハンカチを使うこと
3.混雑した路面電車、電車、家は避けること
4.床に唾を吐かないこと
5.食事の前に手を洗うこと
6.指を口に入れないこと
7.共用のコップは避けること
8.ほこりの多い場所に近づかないこと
9.気分が悪い場合は、プラントドクターに相談すること

あとはいくつか画像。

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・インフルエンザについて知ろう!

そもそも「インフルエンザはジョークじゃない!」っていうそのものズバリの記事。
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「どのようにしてそれを避けるか」
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「インフルエンザについて、知っておくべきこと」
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・マスクをつけよう!

赤十字が出してた広告なんかも見つかりました。ほぼ同じ文言で何パターンかあったようです。
その中の一つ、1918年9月24日、"The Humboldt Times"*2の広告。

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マスクを着用してあなたの命を救おう!

現在私たちの街が直面している緊急事態は、保健局の設備を超えています。

赤十字
は保健委員会の支援を受けています。苦しんでいる人の世話をするために医師や看護師を得ることができません。自分自身だけでなく、子供や隣人をインフルエンザ、肺炎、死から守るために、マスクを着用しなければなりません。

ガーゼマスクはインフルエンザに99%対抗できると証明されています。

医師はマスクを着用しています。マスクを身に着けていない人は病気の人です。今マスクを着用しない男性、女性、子供は危険な怠け者です。

マスクの着用を!

この声明は、エピデミックを撲滅する唯一の方法であると確信している署名者の会議で承認されました。あなたは自分の役割を果たさなければなりません

1918年11月8日、"The Edmonton Bulletin"*3に載った広告。
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シアトルではマスクを着けてないと乗車拒否をされたようです。
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カリフォルニアで撮られたらしい写真。右端の女性が首からぶら下げている看板には「マスクを着けよう、さもなければ刑務所行きだ」と書かれています。
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1918年11月18日、インディアナ州では保健委員会がマスク着用を義務づけると同時に学校の閉鎖も決めて、翌日の"Indianapolis Star"にはこんな記事が載りました。
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1918年10月4日の"The Seattle Times"。
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そして1918年10月10日の"Wisconsin State Journal"。
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こんな風に、スペイン風邪が流行ってた当時は、学校や教会が閉鎖される一方でけっこう色んなアメリカの都市で「マスク着用条例」が出されていたみたいです。特に厳しかったのがサンフランシスコで、マスクに反対する運動"Anti Mask League"ができるほど。
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こうして見ると、今回のコロナ禍でも、学校の休校どころか都市の封鎖(=ロックダウン)があったり、マスクに対する反対運動が起こったリ、まさに「歴史は繰り返す」を地で行っているのがよく分かります。
今後3週間で状況が改善しなければまた緊急事態宣言が出るかも、という今の日本、果たしてどうなる……?

*1:今イギリスで発行されている同名の新聞とはどうやら無関係のようですが、詳細不明です。

*2:今は"Times-Standard"という名前に変わっているようです。カリフォルニアの新聞。

*3:これだけカナダの新聞です。

嵐の曲に“「自己肯定感」「自分らしさ」とは何か”を見る④

ついに完結編。③から1年以上経ってしまいましたが、ようやく完成。一気に7曲登場。


↓③は以下のリンクから。
pgrobert.hatenablog.com


16. 同じ空の下で(作詞:Trevor Ingram、2015)

「あどけなかった あの頃の僕を 思わせるような蒼さに満ちて」いる「飛行機雲」を「見上げた その少年」を見て「大きな夢とたくさんの希望に 溢れてたあの日が蘇る」語り手。
そんな飛行機雲に重ね合わせて「譲れない思いがある限り」「僕らの願いは同じ未来へ」「繋がって」いくことを「果てしない旅路のその途中で」「時に振り返」るその様子には「過去から未来」の流れが見られます。
また「嫌になるほど 抱える今だけど」と「今ここ」の意識もありますし、「遥かな道を行く 僕らの物語を/彩どるすべてが 今は愛おしい」とありのままの自分を大切にする姿勢もあります。


17. Daylight(作詞:stereograph)

誰もが「明日はそう 違う自分と 歩いていくから」、「あの日の空誓った 揺るがぬ言葉」が「きっと明日へと続くから」、「消えそうな勇気を 今持ってる君」へ「届けこの想いよ」と語りかける語り手。
「方向示し続ける僕のノート」があって、「未来へ誓って 過去が未来を照らしている」から「道がいまは開いてる」と「"believe in myself"」と言います。
やはり「過去から未来」の流れがあり、「今ここ」の意識もありつつ、ありのままの自分を信じようとする姿勢もあります。


18. Treasure of life(作詞:Tutti、2017)

「色あせた アルバムに綴ったメッセージ」「不安もない 希望に満ちた明日を夢見てた」というところから、語り手は過去と未来を意識していることがわかります。
もっといえば、「過去の君と現在の僕に吹く 風向きが少し違っていても」「手探りでいい」から「未来への扉叩こう」という語り手の様子からも、「今ここ」の意識を持ちながら、「過去から未来」へと向かう時の流れが見えていることがうかがえます。
また「目指すべき場所の地図はない」から「Reason for my life」を「選ぶのは そう自分次第」だと、自分の確固たる生き方を自分自身で掴もうとする語り手の姿も描かれています。


19. Reach for the sky ~天までとどけ~(作詞:RUCCA、2017)

「未完成だった計画 あの日の誓いが色付き」「1千1回目の挑戦が 実りを迎える未来へ」向かう様子から、この語り手も「過去から未来」の流れを意識していることが分かります。
それは「遠い星座 無邪気な夢 互い語った日々が/遥か時代を駆ける 次の空へ伝う」というところからもうかがえます。
そして「今日が導いてく Search for goals」、「独りきりでは 今日のキセキを迎えられなかったよ」と「今ここ」の意識も当然のようにあります。
一方、「敵はいつでも 1秒先のMyself」と、自分自身と向き合う語り手の姿も描かれています。


20. Find The Answer(作詞:HIKARI、2018)

「過去は変えられない」と「嘆く」「君」と「いま語り合う 未来がそれを 彩ってく」と、語り手は過去に縛られることなく未来を見据えようとする姿勢があります。やはり「今ここ」の意識と、「過去から未来」の流れです。
また、ここでも「見上げた空に一筋の雲」が「あの日と同じ舗道の上」にあって、「時が流れても変わらない感情に そう気づいたよ」と「同じ空の下で」のように雲と自らの気持ちを重ね合わせています。


21. 白が舞う(作詞:Funk Uchino、2018)

語り手が「キミ」へ語りかけていくこの曲では、「記憶の先へと いま飛び立て 探し続けてた明日へ」というところから、やはり「今ここ」の意識と「過去から未来」の流れが見えます。
そして、「涙で滲んだThose days」もあるけれど、「新しい景色 写すフィルム」もあるし、「胸のアルバムに刻んだ決意は いつだって未来を指し示す」から「あの日のWishes」を「険しくともただ栄光求めて 叶えて」と背中を押す語り手が描かれます。
「どれだけ 傷ついたとしても "誇れる自分"を知りたくて」進んでいったんだと、自分を探し求める姿も描かれています。


22. Sky Again(作詞:Goro.T、2018)

「鮮やかな一筋の飛行機雲に 願い込めた Youthful days」があり、「今は新たな風に吹かれ」ながら「My new life」を歩いている語り手は、「We’ll find a brand new way」だといいます。
ここでもやはり「過去から未来」の流れと「今ここ」の意識があり、「一筋の飛行機雲」のくだりも再登場です。
さらに、「Wherever I go Whatever I do」(どこに行こうか、何をしようか)を「可能性を記すノート」の「真っ白なページに綴る日々」を思い出しながら「どんな困難も恐れることなく/路なき未知で待つ 目的地はこの手で拓く」と想いを新たにする語り手の姿も描かれています。
そして「好奇心で描く地図」の「無数のルートを辿る旅」は「Far away」だけど「Can’t wait」だと、未来を恐れない姿勢もあります。


ここまで「“自分らしさ”の探求」という観点から、嵐の楽曲に描かれているものをたどっていきました。
初めは「自分らしさ」を全く描くことができていなかった語り手。それが次第に“「今ここ」の自分”を意識しはじめて、過去・未来との対応で「ありのままの自分」をとらえながら、過去には縛られずに未来へ向かっていくという姿勢の変化が見られました。
そこを越えて途中見失うこともありつつも、「ありのままの自分」を追求しようとする姿勢も見られました。
どのインタビューだったか、松潤が「人の一生なんていつどこで終わるかわからない。そう考えれば、「今」を大切にしていつも自分の思う通りにやるのが正解かなぁ、と」と言っていました。これは楽曲の語り手の姿勢と一致しています。
そんなメンバーの姿がそのまま投影されているのが、これらの楽曲とも言えます。

ペット・ショップ・ボーイズ'Hotspot'今さらレビュー【完全版】

1月24日にリリースされたペット・ショップ・ボーイズの最新アルバム'Hotspot'。もうリリースから半年以上が過ぎていることに驚きです。
 
さて、'Hotspot'に関しては、Annuallyが届いたときにシングル曲+"Only the Dark"のレビューをしたのですが、改めて全曲のレビューを書こうかなと。今回も二人のコメントはAnnuallyからの引用です。各曲の「原題」は、デモ段階でのタイトルです。
 
↓前回の記事。
 

1. Will-o-the-wisp

どのアーティストでもそうだと思うんですけど、アルバムの1曲目ってそのアルバムへの「ガイド役」というか「決意表明」というか、アルバムを象徴するような曲が来ると自分は思っていて。
 
例えばQueenの'A Kind of Magic' (1986)なら、1曲目の"One Vision"はライブ・エイドの後らしく世界平和を願うような歌詞に、4人の共作曲という、「ライブ・エイド前は色々あったけど、これからも4人で頑張るぜ」的なものになってるし、*1
あるいは、Daft Punkの'Random Access Memories' (2013)なら、1曲目の"Give Life Back to Music"は、今まではサンプリング主体打ち込み多用で曲作ってきた*2けど、生音で音楽に感情を取り戻すんだ*3、というアルバムを象徴する決意表明的な曲だし、
 
そして今回の'Hotspot'はと言えば、この"Will-o-the-wisp"は、'Electric'(2013)と'Super'(2016)に続くStuart三部作であると一聴して分かる*4一方、どこか無機質だった先2作("Axis"と"Happiness")とは違い、人間的な温かみが感じられる(=久々にアルバムの1曲目でガッツリ歌ってる!)ところ、またサビで言及しているUバーンがベルリンの地下鉄*5なのはベルリンのハンザスタジオでレコーディングしたことと無縁ではないだろうところ、まさにアルバムを象徴するような曲になっていると思います。
 
歌詞に関しては、クリストファー・イシャーウッド*6Uバーンに座って、馬車を見下ろして昔の恋人を見てるところで、その恋人に関する独白――その恋人は、will o' the wispのように消えたと思ったら突然現れ、また消えようとする――になっているとはニールの弁。まあ、これは完全にニールの作り話のようですが、そのアイデアが気に入ったみたいです。
 
さらに彼が言うには、初めにスチュアートがアルバムの曲リストを作ったときこの曲は外れていたらしく「(電車に乗り込むというのも含めて)アルバムの幕開けにふさわしいから考えるべき」だと彼に言ったら「うん、そうだね」と返されて、無事アルバム1曲目に収まった、なんて経緯も。ちなみに原題は"Dad dancing"。
 
 

2. You are the one

微妙に"Will-o-the-wisp"の終わりから音が繋がってるんですよね。だからアルバムを頭から順に流してると曲の切れ目が分からない。(苦笑)
この「アルバム内で曲間が切れ間なく繋がっている」というのはQueenが頻繁にやっていましたが*7*8、PSBも"Discoteca"~"Single"('Bilingual')とか"For Your Own Good"~"Closer to Heaven"('Nightlife')とか、何より全編ノンストップでリミックスしてる'Disco 2'(1994)がありましたね。
それはともかく、2曲目にしてメロウな曲。"The Only One"('Nightlife'8曲目)や"Breathing Place"('Elysium'6曲目)や"Luna Park"('Fundamental'7曲目)の系譜なのにこの位置なのは思い切ってるよなあ。
これもベルリンに関する曲。ベルリンの周りにある湖に(ドライブに)行ってまた街に戻ってくる、そんな日曜日の午後について歌った曲。元々'Super'の時に書いていたけど、タイトル(最初はシンプルに"The one"だった)とアレンジを変えて今回収録することになったそう。元はダンス曲だったのをテンポを落としてアレンジし直すって、"Rent"と経緯が似てますね。
 
で、クリスが作ったメロディにニールが winter, spring and summer, autumn, always in my heart って歌詞をつけたときに別の曲から盗作したんじゃないかとすごく心配したくらい、80's半ばの曲みたいだとのこと。
 
 

3. Happy people

一気にゴージャスなアレンジ。スポークン・ワードのパートが多め。原題"House piano"。*9
アルバムの中でもクリスお気に入りの歌詞がこの曲の but the soul is in the high hat とのこと。
そして
the soul is in the high hat, programmed in the system
という歌詞は比喩的――魂はそこにあるのに、自発性を削っていくようなシステムにプログラムされている、悲しい世界に生きている幸せな人々のように――だとニールは言います。
この曲聴いてると、この前のツアーの"Opportunities"のときにスクリーンに出てたスマイルマークが頭によぎるのは自分だけでしょうか…
 
 

4. Dreamland

アルバムからのファーストシングル。feat. Years & Years。"Thursday"ぶりのフィーチャリング・アーティスト。原題"Anno Domini"。リリックビデオのモチーフはベルリンの地下鉄(またベルリン!)。
元々Years & Yearsのアルバムに入るはずだった(ので、オリー・アレクサンダーが全編歌っていた)のが、そのアルバムに合わなくなったからニールとオリーのデュエットに変えてこのアルバムに入れることになったそうです。「デュエット」にするにあたって、改めてオリーがレコーディングしたボーカルと、元からあったボーカルと両方を使っているとのこと。
 
作曲を始めたのが2017年1月23日22:58*10で「また晩だ」とニールに突っ込まれたクリスが「明け方まで作業するのが好きなんだ。大学にいた時も同じ。夜通し作業するのに慣れてた」って返したら「自分にはできないよ」と言うニール。このやり取り、すごく微笑ましい。笑
 
 

5. Hoping for a miracle

原題"Le Touquet"。
この曲にはとてもいいコードチェンジがあって、ニールはいつもこのトラックにエミネムがラップを被せるのを想像するそうで、クリスはラッパーには最高のバッキングトラックになるだろうと言います。
 
さて、歌詞ですが、ニールがウォータールー・ブリッジで見かけた(奇妙な独白をしていた)男が最初のバースのモデル。T.S.エリオットの「荒地」を参照した部分*11もあるようです。
二つ目のバースでは、その男はすごく自信を持っているけど上手くいかない(トニー・ブレアが大衆にイラク戦争のことは忘れて彼の成果に注目してほしいと願ったがごとく)。
人生がバラバラになって、奇跡が全てをまとめ直す、そんなことを願っている人の物語。でもそんな奇跡は起こらないだろうと言うドライなニール。
 
そんなニール曰く「オリジナルのコードチェンジが1982年辺りのジョルジオ・モロダーの映画のサントラにありそう(シンセの感じがそんな風)だ」っていうのが興味深いです。*12
 
 

6. I don't wanna

原題"Rewind"。wannaという単語がとてもアメリカン・ポップというところから、コーラスの部分だけマドンナっぽく歌っている曲。
マドンナといえば'Confessions on a Dance Floor' (2005)のプロデューサーがスチュアートで、PSBも"Sorry"のリミックスに参加。新しいボーカルも入れて、そのバージョンがマドンナのライブでも音源として使われるという……そして'Fundamental'(2006)のライナーに載ってたプレスリリースの翻訳に、マドンナがPSBに言及した件についてスチュアートが語ってる部分がありましたね。
 
歌詞は、外に出るには醜くてセクシーさもないと感じているから惨めに部屋にこもっている男の子の話。彼について三つの視点から語られています。
まずコーラス部分は少年自身の視点、彼の台詞。Lonely boy...のバースからナレーターに交代。Friday night...のバースから二人目の視点。そして三人目の視点になってまたコーラスで一人目に戻る。
最後のバースでSnap!の"Rhythm Is A Dancer"を聴いた少年は外に出ることを決めたので、最後のコーラスはわざとらしい感じにしているらしい。
 
 

7. Monkey business

アルバムからのサードシングル。
'Super'を作ってる時(2014年6月24日)に作り始めたみたいなのでアルバムの中で一番古い曲。しかも"Circo Loco"という"Pazzo!"の元になった曲をこの2日後に作るという、逆に'Super'に入らなかったのが不思議に思うような曲作りをしてます。
 
全然関係ないですけど、個人的にmonkey businessっていう単語を見るとフレディ・マーキュリーの"Living on My Own"を思い出します。しかも I don't have no time for no monkey business なので、 I'm looking for monkey business とは真逆。
 
最初作ったとき、あまりいい感じではなかったんだけど、スチュアートがとても気に入った。そうしたらヴォコーダーのパートだったりディスコなストリングスだったりを加えて曲にグルーブ感を出したのもあり、この曲はスチュアートとの共作になった。一方ニールはストーンズミック・ジャガーかというようなパートを思いついてそれも入っているとか。
 
 

8. Only the dark

原題"Distraught"。
前回のレビュー記事でこの曲に"Footsteps"っぽさを感じると書きましたが、"Monkey Business"→"In The Dark"の流れは'Nightlife'(1999)における"New York City Boy"→"Footsteps"の流れに似てますよね。ダンスナンバーで盛り上げた後のクールダウンという意味でも、曲の雰囲気という意味でも。
 
 

9. Burning the heather

アルバムからのセカンドシングル。ギターに元SuedeのBernard Butlerが参加*13。原題"You've got me all wrong"。
ジェリー&ザ・ペースメーカーズが歌うのを想像できるくらい60'sな雰囲気、彼らにはとても珍しいメロディでほとんどフォークだとのこと。スマッシュ・ヒッツで「scarf-waver」とよく呼んでいた類の音楽だとか。
 
 

10. Wedding in Berlin

イントロとアウトロで鳴ってる音は'Happy People'のアウトロでも鳴ってますね。どうやら教会の鐘の音が元になったサウンドらしいです。
メンデルスゾーンの「結婚行進曲」をガッツリとサンプリング。知り合いの結婚式用に作った曲をリアレンジ。その結婚式がベルリンのウェディングというところで行われたようで、二重の言葉遊びなタイトル。
 単なる「結婚賛歌」に終わらせるのではなく、 Don't matter if they're straight or gayセクシャリティにもきっちり触れる辺りさすがです。
 
 
この記事を書くために最近はほぼ'Hotspot'しか聴いていない(しかも1日3回くらい。笑)ですが、還暦を過ぎているのに若々しさの漲るトラックの数々に改めて目を見張るそんな最近です。
あと、日本盤のライナーノーツのインダビューで「日本公演ができてよかった」「'Budocan't'が'Budocan'になった」って言ってくれたのは本当に嬉しいですね。いまはこんな状況ですが、また日本でライブが見られる日を楽しみに待っています。

*1:そして「友達はずっと友達だ」と歌う"Friends Will Be Friends"が収録されているという胸熱展開!

*2:このアルバムでは唯一"Contact"だけがサンプリング使用曲

*3:〝「メモリー」は「データ / 情報」であり、「メモリーズ」は同じ言葉でも「感情」がこもる。〟 by トーマ

*4:途中で"Inside a Dream"みたいな音が鳴ってるのもポイント

*5:実際に彼らが録音した電車の音や車内放送も曲中で流れてます

*6:イギリスの作家、短編の『さらばベルリン』が有名(またもやベルリン!)。これは『私はカメラ』として舞台になっているのですが、Annuallyで二人がアルバムタイトルをCameraかKameraかどっちにしようか考えていた、という話の中で'I Am a Camera'が出てきます。

*7:例えば'QueenⅡ'の"Ogre Battle"~"The Fairy Feller's Master-Stroke"~"Nevermore"の流れとか

*8:'QueenⅡ'の「サイド・ホワイト」も「サイド・ブラック」もこの「切れ間なく繋がる」をやっているので、ブート盤で「Stand Alone Version」という一曲一曲の独立した版が入ってるやつがあったりします。

*9:元は中間部のみだったらしいですが。

*10:なんでここまで正確に記録してるんだ!?と驚いたのは内緒。

*11:On Waterloo Bridge you got lost in the fog ――ただ、「荒地」ではウォータールー・ブリッジではなくロンドン・ブリッジだったみたいですが……

*12:ちなみに、たとえば「フラッシュダンス」は1983年、「メトロポリス」は1984年です。

*13:本当はいつも通りジョニー・マーに頼みたかったけどツアー中だったので断念したとか……もし実現してたら'Yes'(2009)ぶりだった!

Queenの曲が歌い出しにかかるまでの時間を調査してみた。

先日たまたま見かけたツイートに、

「インターネット白書にサブスクが流行るようになって前奏が短くなったと載っていた。
・1980年代まで前奏平均約20秒
・2019年には平均5秒までに短縮
サブスクだと5秒程度で25%離脱、30秒で更に34%が離脱」

という内容のものがあり、それに対するリプライに

Queenが最近また流行ったのも代表曲がサブスクに適しているからでは」

というものがあり検証したくなったので、代表曲と言わずオリジナルアルバムの全150曲の歌い出しまでの時間を調べてみました。*1


一応、基準としては合いの手とかコーラスとかみたいなものは歌い出しにカウントしていません。例えば"Scandal"は曲の頭から「ティーリーリリーララ」と言っていますがそれは考慮に入れていません。*2
また、シングルバージョンがある曲もアルバムバージョンで調べてあります。


Queen

Keep Yourself Alive……36秒(28秒)
Doing Alright……14秒
Great King Rat……30秒
My Fairy King……33秒(15秒)
Liar……1分25秒
The Night Comes Down……1分13秒
Modern Times Rock'n'Roll……5秒
Son And Daughter……1秒
Jesus……7秒
Seven Seas of Rhye……インスト

Queen

Procession……インスト
Father To Son……18秒
White Queen (As It Began)……18秒
Some Day One Day……34秒
The Loser In The End……13秒
Ogre Battle……1分3秒(31秒)
The Fairy Feller's Master-Stroke……7秒
Nevermore……3秒
The March Of The Black Queen……22秒
Funny How Love Is……7秒(0秒)
Seven Seas Of Rhye……20秒

Sheer Heart Attack

Brighton Rock……33秒
Killer Queen……2秒
Tenement Funster……7秒
Flick Of The Wrist……24秒
Lily Of The Valley……0秒
Now I'm Here……7秒
In The Lap Of The Gods……0秒
Stone Cold Crazy……22秒
Dear Friends……0秒
Misfire……12秒
Bring Back That Leroy Brown……0秒
She Makes Me (Stormtrooper In Stilettos)……14秒
In The Lap Of The Gods... Revisited……0秒

A Night at The Opera

Death On Two Legs (Dedicated to...)……1分6秒
Lazing On A Sunday Afternoon……7秒
I'm In Love With My Car……10秒
You're My Best Friend……9秒
'39……35秒(0秒)
Sweet Lady……25秒
Seaside Rendezvous……6秒
The Prophet's Song……37秒
Love Of My Life……22秒
Good Company……6秒
Bohemian Rhapsody……0秒
God Save The Queen……インスト

A Day at The Races

Tie Your Mother Down……1分24秒(1分13秒)
You Take My Breath Away……0秒
Long Away……17秒
The Millionaire Waltz……22秒
You And I……15秒
Somebody To Love……0秒
White Man……10秒
Good Old-Fashioned Lover Boy……0秒
Drowse……14秒
Teo Torriatte (Let Us Cling Together)……20秒

News Of The World

We Will Rock You……13秒
We Are The Champions……0秒
Sheer Heart Attack……1秒
All Dead, All Dead……19秒
Spread Your Wings……6秒
Fight From The Inside……27秒
Get Down, Make Love……13秒
Sleeping On The Sidewalk……5秒(0秒)
Who Needs You……4秒
It's Late……22秒
My Melancholy Blues……19秒

Jazz

Mustapha……0秒
Fat Bottomed Girls……0秒
Jealousy……16秒
Bicycle Race……0秒
If You Can't Beat Them……7秒
Let Me Entertain You……14秒
Dead On Time……25秒(17秒)
In Only Seven Days……5秒
Dreamer's Ball……12秒
Fun It……12秒
Leaving Home Ain't Easy……31秒
Don't Stop Me Now……0秒
More Of The Jazz……29秒

The Game

Play The Game……18秒
Dragon Attack……10秒
Another One Bites The Dust……19秒
Need Your Loving Tonight……8秒(0秒)
Crazy Little Thing Called Love……6秒
Rock It (Prime Jive)……1秒
Don't Try Suicide……15秒(0秒)
Sail Away Sweet Sister……8秒
Coming Soon……4秒
Save Me……0秒

Hot Space

Staying Power……6秒(2秒)
Dancer……5秒
Back Chat……20秒(8秒)
Body Language……18秒
Action This Day……5秒
Put Out The Fire……5秒
Life is Real (Song For Lennon)……5秒
Calling All Girls……10秒
Las Palabras De Amor (The Words Of Love)……34秒
Cool Cat……10秒
Under Pressure……22秒

The Works

Radio Ga Ga……56秒
Tear It Up……49秒(3秒)
It's A Hard Life……0秒
Man On The Prowl……3秒
Machines (Or Back To Humans)……13秒
I Want To Break Free……8秒
Keep Passing The Open Windows……2秒
Hammer To Fall……16秒(8秒)
Is This The World We Created?……19秒

A Kind Of Magic

One Vision……1分30秒(6秒)
A Kind Of Magic……0秒
One Year Of Love……5秒
Pain Is So Close To Pleasure……9秒
Friends Will Be Friends……10秒
Who Wants To Live Forever……9秒
Gimme The Prize (Kurgan's Theme)……25秒
Don't Lose Your Head……8秒
Princes Of The Universe……0秒

The Miracle

Party……7秒
Khashoggi's Ship……0秒
The Miracle……5秒
I Want It All……31秒*3
The Invisible Man……0秒
Breakthru……0秒
Rain Must Fall……34秒
Scandal……44秒(0秒)
My Baby Does Me……16秒
Was It All Worth It……1分7秒

Innuendo

Innuendo……47秒(4秒/36秒)
I'm Going Slightly Mad……14秒
Headlong……9秒
I Can't Live with You……6秒
Don't Try So Hard……3秒
Ride the Wild Wind……7秒
All God's People……0秒
These Are the Days of Our Lives……9秒
Delilah……0秒
The Hitman……5秒
Bijou……1分23秒
The Show Must Go On……19秒

Made In Heaven

It's A Beautiful Day……45秒
Made In Heaven……21秒
Let Me Live……7秒(0秒)
Mother Love……48秒
My Life Has Been Saved……29秒
I Was Born To Love You……11秒
Heaven For Everyone……11秒
Too Much Love Will Kill You……12秒
You Don't Fool Me……29秒(0秒)
A Winter's Tale……0秒



そんなわけで、以上を踏まえると、インストを除いた全147曲中歌い出しスタートは24曲(16.3%)。合いの手とかも歌い出しに含めると31曲(21%)。
開始5秒までに歌い出すのが44曲(29.9%)。合いの手とかも含めると55曲(37.4%)。

そして開始30秒までに歌い出すのが123曲!
合いの手とかも含めると130曲!!
実に83.6%/88.4%という脅威的な割合です。
特に'News of The World'と'The Game'に関してはアルバム全曲が30秒以内に歌い出しています。'Sheer Heart Attack'は"Brighton Rock"のみ33秒ですが、冒頭が遊園地のSEなのを考えればほぼ全曲と言っていいでしょう。


というわけで検証結果としては

「推測は正しいと言えるのでは」

ということになりました。


個人的な感想は、一番イントロが長いのは"Was It All Worth It"だと思ってたら実際は"One Vision"でびっくりしました……*4
そして曲スタート=歌い出しの24曲中12曲、つまり半分がシングル曲(しかも"Fat Bottomed Girls"と"Bicycle Race"は両A面で曲スタート=歌い出し!)ということに、もしかしてこれはQueenの先見の明……?と勝手に思っているところです。
あと、やっぱりアルバムの一曲目はイントロが長めですね。"Death On Two Legs"といい"Tie Your Mother Down"といい1分以上!"Radio Ga Ga"も1分近く。アルバムへの期待を高める効果でしょうか。何なら"Procession"はこれ自体が"Father And Son"のイントロとも言えそう。

*1:"Flash Gordon"はサントラ盤でほぼインストなので除外してあります。あしからず。

*2:ただし歌詞に'Uhh'みたいに入っている場合は歌い出しに入れています。この辺が少しジャッジの難しかったところ……なので、一応( )で、歌詞以外の何かが始まったタイミングも書いてあります。

*3:シングルだと0秒

*4:ただ、シングルだと40秒なので、実質"Liar"のイントロが一番長いってことになりますね。

Lady Gaga、Elton John「Sine From Above」を和訳。

レディー・ガガの新しいアルバムから、エルトン・ジョンとコラボした"Sine From Above"を和訳しました*1
Axwell Λ Ingrossoやアヴィーチーの"Hey Brother"や"Waiting For Love"などにソングライティングで参加しているVargas & Lagolaが関わっているからか、ものすごくクールなEDMサウンド。ソングライティングには他にOneRepublicのライアン・テダーなども関わってます。

youtu.be

When I was young, I prayed for lightning
My mother said it would come and find me
I found myself without a prayer
I lost my love and no one cared
When I was young, I prayed for lightning

若い頃 稲妻を求め祈ってた
母は言った それは私を見つけにくると
祈ることなく 自分自身に気づいた
私は愛を失い 誰も気にかけなかった
若い頃 稲妻を求め祈ってた

Yeah, I looked with my face up to the sky
But I saw nothing there, no, no, nothing there
Yeah, I stared while my eyes filled up with tears
But there was nothing there, no, no, nothing

顔を上げて 空を見上げた
でもそこには何も見えなかった 何も、何も見えなかった
目に涙をためて じっと見つめた
でもそこには何も見えなかった 何も、何も見えなかった

I heard one sine from above
I heard one sine from above
Then the signal split in two
The sound created stars like me and you
Before there was love, there was silence
I heard one sine
And it healed my heart, heard a sine

上の方から一つのサインを耳にした
上の方から一つのサインを耳にした
そしたらシグナルは二つに裂けて
その音はあなたと私みたいに 星を作りだした
愛がある前には 静寂があった
一つのサインを耳にした
それは私の心を癒した サインを耳にした

Healed my heart, heard a sine
Healed my heart, heard a sine

心を癒した サインを耳にした
心を癒した サインを耳にした

When I was young, I felt immortal
And not a day went by without a struggle
I lived my days just for the nights
I lost myself under the lights
When I was young, I felt immortal

若い頃 不死身だと感じてた
争いのない日は 一日もなかった
ただ夜のために 日々を生きてた
明かりの下 自分を見失った
若い頃 不死身だと感じてた

Yeah, I looked with my face up to the sky
But I saw nothing there, no, no, nothing there
Yeah, I stared while my eyes filled up with tears
But there was nothing there, no, no nothing

顔を上げて 空を見上げた
でもそこには何も見えなかった 何も、何も見えなかった
目に涙をためて じっと見つめた
でもそこには何も見えなかった 何も、何も見えなかった

I heard one sine from above
I heard one sine from above
Then the signal split in two
The sound created stars like me and you
Before there was love, there was silence
I heard one sine
And it healed my heart, heard a sine

上の方から一つのサインを耳にした
上の方から一つのサインを耳にした
そしたらシグナルは二つに裂けて
その音はあなたと私みたいに 星を作りだした
愛がある前には 静寂があった
一つのサインを耳にした
それは私の心を癒した サインを耳にした

Healed my heart, heard a sine
Healed my heart, heard a sine

心を癒した サインを耳にした
心を癒した サインを耳にした

Then the signal split in two
The sound created stars like me and you
Before there was love, there was silence
I heard one sine
And it healed my heart, heard a sine

そしたらシグナルは二つに裂けて
その音はあなたと私みたいに 星を作りだした
愛がある前には 静寂があった
一つのサインを耳にした
それは私の心を癒した サインを耳にした

Healed my heart
Healed my
Heart, heard a sine
Healed my
Heart, heard a sine

心を癒した
私の心を
癒した サインを耳にした
私の心を
癒した サインを耳にした


冒頭にも書きましたが、この曲はLady Gagaの新しいアルバム"Chromatica"に収録されています。ところどころ直訳っぽいのはご愛嬌……

*1:この'sine'ってそのままの意味だと三角比(サイン・コサイン・タンジェントのサイン)を表すので、'sign'ということで訳してます。

ポルノグラフィティ「むかいあわせ」を語る。

今日の「DISPATCHERS」でついに「むかいあわせ」*1が披露される!!

……というわけで、今回は「むかいあわせ」について語る回。



open.spotify.com


私は数多あるポルノグラフィティの楽曲の中でもこの曲が一番好きです。初めて聴いた瞬間からずっとそうなのですが、その理由は何だろうと考えたら、この曲が持つ「優しさ」に惹かれてるように思います。実際、ヴォーカルがやさしく包容力があるという評*2もあります。

アコギがメインで使われてるんだけど、どこか「和」な雰囲気(アコギというより琴に聴こえる瞬間もある)なのも、個人的なツボ。


こんな感じで曲の雰囲気も大好きなポイントなのですが、それ以上に何より歌詞に、自分はものすごく惹かれる。

以下、自分なりの(かなり堅い)分析です。


この歌詞の中では語り手が「内なる自己」と対話する様子が描かれている。
まず語り手は「ずいぶん長い旅」に出ていた“もう一人の自分”に「途中でそっと呼び掛けたけど前を見たまんまで応えなかった」から、「やっと会えた」と喜び「おかえり」と迎え入れる。
そこで“もう一人の自分”に「どこへ行けた? 何を見つけた? 誰かのこと好きになった?」と尋ねる語り手だが、彼は「ずいぶんと曇った顔してる」ために「もっと笑って話してごらんよ」と語りかける。
そして「いろんなことが何度も行ったり来たりで/幸せなこと悲しくなること 一本の道の上にあったりする」けれど「せっかくここまで来たんだから」「もう少しだけ歩こう」、「誰もがこの道を通るから 陽だまりの場所 尋ねて 向かってみよう」と提案する。
そんな中「心と心を重ねあわせ 耳を当てて聞き取る」と「『どうしてどうして強くなれない?』」という「消えそうな小さな叫び声がずっと聞こえてくる」。しかし「どこにも置き去りにできない」し「ましてや壊すための勇気なんてもっていない」ので、「真綿にくるんで この思い抱きかかえる」。
けれど、“もう一人の自分”は「また旅に出る」ため、語り手は「まだ見ぬ素敵な景色がある」から「後ろを振り向かずに」「信じて進んでみよう」と声をかけ、「さよなら」と送り出している。


……うーん、我ながら本当に堅い。(苦笑)

そもそも昭仁の「自分と向き合う」系の歌詞は遡ると「朱いオレンジ」に辿り着きます。

そして飽きるくらい自分と向き合った
あと何回くらい繰り返せば辿り着くの?

そこから「音のない森」で人生を深い森に例えて、もがき苦しむ様子*3を描きながら、

見渡せばそこにいくつもの足跡
誰もが通り行く場所なんだろう

という風に「誰もが通る場所」というモチーフを登場させます。

その後「君は100%」では

誰もが一度は彷徨い通る道だから
孤独を感じなくてもいい 怖くはない 一人じゃない

とされて、「カゲボウシ」*4では

長い道だから 忘れないで
越えたとき見える その景色を

上でも引用しましたが、「むかいあわせ」では

もう少しだけ歩こうよ せっかくここまで来たんだから
誰もがこの道を通るから 日だまりの場所 尋ねて 向かってみよう

そして最終的に「プリズム」で

「どこまで来れたのかな?」ずいぶん長い旅*5になったから
これまでの道のりの答え合わせしようと問いかける

というところまで結実します。最終的にそれまでのことを受け入れられるようになっている。*6
「むかいあわせ」はその地点に向かうまでの「過渡期」の歌詞とも言えます。
そこで出てくるのが「自分と向き合う」ということ。

昭仁は、自分と向かいあって深層心理に辿り着くことは、都合の悪いことも見てしまうだろうし、難しいことだけど、そんな一部分があったと認めてあげられるということができたときに、自分カウンセリングになるのではないかと言っています。*7


そんなところが、この曲に魅力を感じるところなんだろうなと思います。自分を受け入れる(=自己受容)って難しいことだけど、難しいと思ってる自分も含めて丸ごと受け止めることが大切というメッセージに心惹かれるんです。*8

*1:作詞・作曲:岡野昭仁

*2:「バックステージ・パス」2013年4月号

*3:「苦しくて叫ぶ声 届かない 何を待つ?/蜘蛛の糸? 青い鳥? 救いを求め天を仰ぐ」……ここで「蜘蛛の糸」と「青い鳥」を選ぶセンスたるや!

*4:NHKドラマ「つるかめ助産院~南の島から~」の主題歌として書かれた曲で、「むかいあわせ」はそのときのデッドストック。だから曲調・歌詞・雰囲気がとてもそっくり。ここで引用した「景色」も、「むかいあわせ」で「まだ見ぬ素敵な景色がある」と出てきます。

*5:この「ずいぶん長い旅」というのも、上の分析で引用した通り「むかいあわせ」に登場しますね。歌詞の連続性。

*6:昭仁の歌詞には他にも例えば、自問自答を歌詞にした「MONSTER」、「冒険をはじめたのは他でもない自分で」と歌う「BLUE SKY」もありますが、今回は割愛しました。

*7:「バックステージ・パス」2013年4月号より

*8:ちなみに、ベースを弾いている山口寛雄さん、ポルノの曲だとリバル・wataridori・バベルの風に参加してるのですが、V6の「メジルシの記憶」作曲・編曲、「way of life」作曲をされている方です。そんな繋がりも嬉しい。さらに補足すれば「メジルシの記憶」の作詞担当にはSkoop On Somebodyがいます。「カメレオン・レンズ」にコーラスで参加してる方々。うーん、繋がりがすごい!