pgrobertのブログ

好きな音楽や美術について。ときどき脱線。

Newsweek掲載の櫻井くんのドキュメントを読んだ。

今週発売のNewsweekに掲載された櫻井くんの1万字ドキュメントを読みました。

元々Newsweekはほぼ毎週読んでいて、世界情勢を知るのにもかなり重宝しています。たまに海外の有名な人が寄稿していることもあって、そうした人たちの文章を読めるのも醍醐味です*1。「リベラル誌」ということで時にはかなりバイアスのかかった記事もありますが、それでもかなり勉強になります。とは言え、「何言ってんだこれ……」となることもしばしば。(苦笑)


そんなNewsweekに櫻井くんが寄稿するなんて!と驚くと同時に「絶対読まねば!」と固く決意し、発売日に即買い即読了。……で、今備忘録も兼ねてこうして綴っているところです。


読んでいて色々琴線に触れる部分はあったのですが、読了後の第一印象は「文章上手い……」でした。

慶応卒というのもそうだし、ラップを書いてたっていうのもそうなのかもしれないけど、色んなことがスッと伝わってくる文章。
例えば、震災当日~震災後初のnews zero放送までの数日間の描写は短い文章で体言止めを繰り返すことで当時の緊迫感が蘇るようでした。
そしてCMがACジャパンばかりになりテレビから芸能人が姿を消していくなか「いつもテレビで見てる顔を見られたら安心できるから」と言われ、批判も覚悟で当時の生放送に臨んだ櫻井くんの心情を思うと、しばし言葉を失います。


他にも震災から5年経っても福島を海外メディアが取材していることにショックを受けたり、実際に除染作業に携わることでその大変さを実感したり、間違いなく少しずつ進んでいる復興に胸を打たれたり、そういったことに対する彼の率直な気持ち・真摯な態度が胸を打つ、本当に素晴らしいドキュメントだと思います。
そして何より櫻井くん自身が「嵐・櫻井翔」というアイドルであることに非常に自覚的*2で、それを「ずるさ」「装置」「下駄」とまで言い切ってしまうその潔さ。でもだからこそ「拡声器」としての役割を持てるんだと言える格好良さ。
取材に行くたび何度も涙してきて被災地に行くことをためらうことも何度もあったという櫻井くん。でもそれは他人の痛みや悲しみに寄り添えるからで、やっぱり真摯な人なんだなあと感じ入るわけです。


9ページ・1万字に及ぶ今回の記事*3。個人的には「5月28日 宮城県女川町」のエピソードとSummer Splash!にまつわるエピソードが特に印象深いです。東日本大震災から10年というタイミングで櫻井くんが寄稿して色々なことを綴ったことの意味をもう少し噛み締めたいと思います。


……そういえば、震災後4月1日に放送されたMステのスペシャルに嵐が出ていて、「Lotus」「Happiness」「感謝カンゲキ雨嵐」をメドレーで披露していたなと、ふと思い出しました。

以下は、当時自分がmixiの日記に書いた文章から抜粋したものです。

相葉主演ドラマ「バーテンダー」の主題歌であるLotus、詞・曲共にtruth(大野主演「魔王」主題歌)に通じるものがある*4が、確かに“応援歌”たり得る歌詞だと気付く。ついでに、リーダーのフェイク半端なかったです。
続いてHappiness、例のランキング*5の上位にも入っていたが、これは誰が聴いても元気が出る曲だろう。
そして感謝カンゲキ雨嵐であるが、これは少し意外な選曲に思えた。が、短絡的には“感謝”を歌っているこの曲、RAPからAメロBメロと、困難にあっても支えになるもの/人がある/いるとも歌っているので、結局は納得のいく選曲だった。
そしてこの曲の時にリーダーとニノが歌ってる横で残り3人が盛り上げようとしていたのを見て、彼らは本当に被災地の方々に早く元気になってほしいと願っているのだと感じた(まぁ、櫻井くんは地震のニュースで泣き腫らしたらしいし……)。

で、改めて「Lotus」の歌詞を見たのですが、震災の復興を願って作られたんじゃないかと錯覚するくらい、ものすごく当時の状況とシンクロするような歌詞であることに驚きました。当時の最新シングルでしたが、あのスペシャルで歌われたのも納得です。


*1:例えば今回であればマルクス・ガブリエルが震災とコロナウイルスに関する論考を書いていました。それにしても同じ雑誌の中で「櫻井翔」と「マルクス・ガブリエル」が並ぶ日が来るとは……

*2:でもラップでも「大卒のアイドルがタイトルを奪い取る」と言ったこともあるし、そうした部分については元々冷静に自らを見ているのかなとも思います。

*3:日本版Newsweek編集長の長岡さん曰く、最初の原稿はもっと長かったそうですから、驚きです。

*4:作曲者のうちの一人がtruthを作詞作曲したHYDRANTさんなので、それもそうなのだという。

*5:ちなみに「元気が出る曲ランキング120」というのをやっていました。