pgrobertのブログ

好きな音楽や美術について。ときどき脱線。

ポルノグラフィティ「AGAIN」と「VS」と「一雫」と。

AGAINが好きすぎる。


前も書いた通り、ポルノグラフィティで一番好きな曲はむかいあわせなのですが、次点はと聞かれたら間違いなくAGAINと答えます。

pgrobert.hatenablog.com


RHINOCEROSのリリースから早6年。AGAINを聴かなかった日はほとんどないんじゃなかろうかというくらい毎日のように聴いてます。


さて、この曲、まず初めのシタールに心を掴まれます。
例えばローリング・ストーンズの「黒くぬれ!(Paint it, Black)」みたいにどこか妖しげな雰囲気を醸し出すのにはシタールって効果てきめんだと思うんですけど、Queenの"White Queen(As It Began)"とか"Jealousy"とか*1、何より「横浜リリー」みたいにバラードで使われると寂寥感を増幅させる効果がありますよね。
あと、シタールに混ざって左右に振られる「チンッ...チンッ...」って音も好きです。

国道沿い 冷えた公園の 薄い乳色の朝もや
体の芯に残っている 痺れが脈打つ
(歌い出し)

国道沿い 見慣れたコンビニ トラックが巨体を震わせて
僕のすぐそばを走り去ってく AGAIN AGAIN
(ラスト)

ポルノグラフィティの曲で、ここまで情景描写が細かいのって珍しい気がします。
例えば「横浜リリー」であれば、舞台が横浜なだけに「横浜のホテル」「本牧」「汽車道の橋」と地名が歌詞に出てきますが、AGAINみたいに匿名性がありながら具体的な情景描写ってあまりないような……しかも「見慣れたコンビニ」だから語り手の生活圏での出来事だというのが分かります。

そしてこの曲、構成も珍しいですよね。

Aメロ→Bメロ→(間奏)→Aメロ→Bメロ→サビ→(間奏)→Bメロ→ラストサビ→Aメロ

そもそも彼らの曲ってサビ始まりが多いし、「Aメロ→Bメロ」の流れを繰り返してサビに突入、ラストサビまでサビが一つしかない(=2番がない!)のはなかなかないどころかこの曲が唯一ではないか?っていう……最後にAメロがまた登場するのも滅多にないですし。

遥かな昔 海に沈んだ架空の街の地図で
旅をしているみたい
そこにあったはずの景色は変わり
僕は泣いているんだ AGAIN AGAIN

初めて聴いたときに衝撃を受けたフレーズ、「遥かな昔 海に沈んだ架空の街の地図」。
「架空の街」なのに「遥かな昔海に沈んだ」とはどういうことなのか?
でも架空とはいえ「海に沈ん」でしまったから「そこにあったはずの景色は変わ」ってしまったということなのか?
……こうやってモヤモヤと想像が広がっていく*2間に間奏に突入して……

本当のこと言うよ 時間と共に
地図は掠れていって 今では読めもしない
そこに何があったか 思い出せなくて
僕は泣いているんだ AGAIN AGAIN

そしてラストサビの「タネ明かし」。
実は地図は「掠れていって 今では読めもしない」ものになってしまって、景色が変わったから、ではなく「そこに何があったか 思い出せなくて」泣いているというどんでん返し。
景色が変わってしまったのも掠れて読めないのも「喪失感」の表れなんだけど、こちらの方がその深さがケタ違いというか……


ところで、タイトルになっている「AGAIN」は4回歌詞に登場します。

国道沿い 見慣れたコンビニ トラックが巨体を震わせて
僕のすぐそばを走り去ってく AGAIN AGAIN

そこにあったはずの景色は変わり
僕は泣いているんだ AGAIN AGAIN

そこに何があったか 思い出せなくて
僕は泣いているんだ AGAIN AGAIN

夜ごと君に話していた約束は今も果たせず
痛みに姿を変えて尚 AGAIN AGAIN

「何度も*3トラックが走っていく」「何度も泣いている」。
そして「毎晩話していた約束は、果たせず何度も痛みに変わった」……

夜ごと、君に話してた
未来についての言葉は、
いくつかは本当になって、
いくつかはウソになってしまった。

以前とある方が指摘していた*4通り、「ダイアリー 00/08/26」のこのフレーズを思い起こします。

またこのフレーズ、「ひとひら」で

あれは夜な夜な語った夢と 果たせないままの約束たち

となり、そして「VS」では

夜ごと君に話した約束たち
今も果たせずにいて
邪魔するのは他人のこともあれば
意気地のない自分だったりした

さらに、

遥かな昔 海に沈んだ架空の街の地図で
旅をしているみたい

本当のこと言うよ 時間と共に
地図は掠れていって 今では読めもしない

AGAINで重要な役割を持っていた「地図」。同じく「VS」で

本当 気楽でいいな
無邪気に描いた地図
クレームもつけたくなるが

と出てきます。
「ミュージシャンとしてこうなりたい」という「理想」「目標」を描いた「地図」。「気楽」に「無邪気」に描いたそれは、月日とともに読めなくなっていった。「理想」は「幻想」(=「遥かな昔 海に沈んだ架空の街の地図」)だった。
「VS」の歌詞を踏まえてAGAINの歌詞を考え直すと、こういうことなのかな、って。そしてもっといえば、「約束」は「地図」に描かれていたとも捉えられると思います。

つまり、ポルノグラフィティとして掲げた理想・こんなミュージシャンを目指そうというお互いの約束。3人で活動を始めて、でもメンバーが抜けてかつての理想・約束は「ウソ」になり果たせなくなり、それでも戦いは止めない*5、そんな決意表明になっているのが「VS」という曲なのではないか、と……




ここからは余談。

「VS」のカップリング「一雫」には、こんな歌詞があります。

ギターはその夢を描くペンで
汚れた手で触れてないかと
今問いかけたらギターはどんな顔をするかな?


これもやはり「ダイアリー 00/08/26」の

あいかわらずGuitarを離さずにいるんだよ。
それは夢を描くペンでも
あったんだし、前からそうだし。

汚れた手でGuitarを
触ってはいないかな?
僕の声は君にどんな風に
聴こえてる? 響けばいいけど。

を彷彿させます。晴一自身、「一雫」を「ダイアリーシリーズ」と言っていたので、もろに一致するのも当然といえば当然なのかもしれないけれど、やはりギターが夢への道標だったんだなと改めて納得した次第なのです。

*1:厳密に言えばこの2曲は安物のギターを改造してシタールのような音が出るようにしているようですが。

*2:アトランティス的な何かのことなのかな?とも思いました。

*3:本来であれば、'again and again'で「何度も」という意味になります

*4:http://nekomatsublog.seesaa.net/article/441660742.html 参照。圧倒的な分析。

*5:X JAPANYOSHIKIをモデルに「あのロッカー まだ闘ってっかな?」と歌ったプッシュプレイのアンサーといえる「あの少年よ こっちも戦ってんだよ」より

クイーン「Was It All Worth It」を和訳。

What is there left for me to do in this life
Did I achieve what I had set in my sights
Am I a happy man or is this sinking sand
Was it all worth it, was it all worth it

この人生でやり残したことは何かあるだろうか
自分で立てた目標は達成できただろうか
俺は幸せな男なのか それともこのまま沈んでいくのか
それだけの価値は あったのだろうか

Yeah, now hear my story, let me tell you about it
We bought a drum kit, I blew my own trumpet
Played the circuit, thought we were perfect

そうさ、俺の話を聞いてくれ、話してもいいかい
俺たちはドラムセットを買って、自分でトランペットを吹いて自慢して
ライブも回って、それで完璧だと思ってた

Was it all worth it giving all my heart and soul and Staying up all night was it all worth it
Living breathing rock n' roll a godforsaken life
Was it all worth it was it all worth it all these years

それだけの価値はあったのか、全身全霊をかけて打ち込んで
徹夜までしただけの価値はあったのか
ロックンロールとともに呼吸し 荒んだ生活を送る
長いことそれだけのことをした その価値はあったのか

Put down our money without counting the cost
It didn't matter if we won - if we lost
Yes we were vicious, yes we could kill
Yes we were hungry, yes we were brill

糸目もつけずにお金を使った
成功するか失敗するか―そんなことはどうでもよかった
そう俺たちは始末に負えなかった、殺しができるくらい力が漲ってた
そう俺たちは飢えてた、そして最高だった

We served a purpose, like a bloody circus
We were so dandy, we love you madly
Was it all worth it
Living breathing rock n' roll this godforsaken life
Was it all worth it was it all worth it
When the hurly burly's done

俺たちはとてつもないサーカスのごとく 目的を果たした
とてもダンディだったし、死ぬほど君を愛した
それだけの価値はあったのか
ロックンロールとともに呼吸し この荒んだ生活を送る
それだけの価値はあったのか
大騒ぎが終わった時にはどうなるんだ?

We went to Bali, saw God and Dali
So mystic, surrealistic

バリに行って、神とダリを目にした
とても神秘的で、シュールだった

Was it all worth it giving all my heart and soul
Staying up all night was it all worth it
Living breathing rock n' roll this never ending fight
Was it all worth it was it all worth it

Yes, it was a worthwhile experience
It was worth it

それだけの価値はあったのか、全身全霊をかけて打ち込んで
徹夜までしただけの価値はあったのか
ロックンロールとともに呼吸し生活し この終わりのない闘いに
それだけの価値はあったのか

そう、価値ある経験だった
それだけの価値はあったよ




Queenの1989年のアルバム'The Miracle'より"Was It All Worth It"。
邦題「素晴らしきロックン・ロール・ライフ」は曲の本質を突いていていい。
'The Miracle'以降、作詞作曲のクレジットは「クイーン」になりましたが、この曲はフレディ主導で作られたようです。そう言われてみれば、自分のこれまでの人生を振り返るような歌詞はAIDS感染が分かっていつ死ぬかも分からない彼の心情の吐露とも思えます。
今までのことを「価値があったのだろうか」と疑問を呈しながら最後の最後で「それだけの価値はあった」と究極の自己肯定に至る当たりはいかにもフレディそしてQueenという感じがします。
アレンジも凝りに凝っていて、初期の曲を思わせます。これぞQueenの真骨頂!

イマジン・ドラゴンズ「Follow You」を和訳。

Imagine Dragonsの2年振りの新曲"Follow You"が最高だったので和訳してみました。意味が取りづらい部分がいくつかあったのですが、そこが少し直訳調だったりするのはご愛嬌ということで……


youtu.be

You know I got your number, number all night
I'm always on your team, I got your back, all right
Taking those, taking those losses if it treats you right
I wanna put you into the spotlight

僕が一晩中君のことをお見通しだって 君は分かってる
僕はいつでも君の味方で 君のことをしっかり守る、大丈夫さ
君を正しく扱えるなら 損失だって受け止めるよ
君にスポットライトを浴びてほしいんだ

If the world would only know what you've been holding back
Heart attacks every night
Oh, you know it's not right

もし世界が 何を君が秘密にしてたかだけを知っていたら
毎晩心臓が鼓動する
ああ、君はそれが正しくないって分かってる

I will follow you way down wherever you may go
I'll follow you way down to your deepest low
I'll always be around wherever life takes you
You know I'll follow you

どこへ行こうとも 僕は君についていく
どんなに落ち込んでも 僕は君についていく
人生が君をどんな所に連れていこうとも いつでもそばにいる
僕がついてるって 分かってるだろ

Call you up, you've been crying, crying all night
You're only disappointed in yourself, alright
Taking those, taking those losses if it treats you right
I wanna take you into the sunlight

電話をかければ 一晩中君は泣いている
君自身にがっかりしてるだけ 大丈夫だよ
君を正しく扱えるなら 損失だって受け止めるよ
君を日の光のもとへと 連れていくよ

If the world would only know what you've been holding back
Heart attacks every night
Oh, you know it's not right

もし世界が 何を君が秘密にしてたかだけを知っていたら
毎晩心臓が鼓動する
ああ、君はそれが正しくないって分かってる

I will follow you way down wherever you may go
I'll follow you way down to your deepest low
I'll always be around wherever life takes you
You know I'll follow you

どこへ行こうとも 僕は君についていく
どんなに落ち込んでも 僕は君についていく
人生が君をどんな所に連れていこうとも いつでもそばにいる
僕がついてるって 分かってるだろ

You know I'll follow you
Wherever life takes you
You know I'll follow you

僕がついてるって 分かってるだろ
人生が君をどんな所に連れていこうとも
僕がついてるって 分かってるだろ

You're not the type to give yourself enough love
She live her life, hand in a tight glove
I wish that I could fix it, I could fix it for you
But instead I be right here comin' through
Right here comin' through

君は自分自身をしっかり愛するタイプの人じゃない
きつい手袋をはめて、彼女の人生を生きる
僕が君のためにそれを何とか出来たらって思うけど
その代わりに切り抜けて ここにいるよ
切り抜けて まさにここに

I will follow you way down wherever you may go
I'll follow you way down to your deepest low
I'll always be around wherever life takes you
You know I'll follow you

どこへ行こうとも 僕は君についていく
どんなに落ち込んでも 僕は君についていく
人生が君をどんな所に連れていこうとも いつでもそばにいる
僕がついてるって 分かってるだろ

You know I'll follow you
Wherever life takes you
You know I'll follow you

僕がついてるって 分かってるだろ
人生が君をどんな所に連れていこうとも
僕がついてるって 分かってるだろ

Newsweek掲載の櫻井くんのドキュメントを読んだ。

今週発売のNewsweekに掲載された櫻井くんの1万字ドキュメントを読みました。

元々Newsweekはほぼ毎週読んでいて、世界情勢を知るのにもかなり重宝しています。たまに海外の有名な人が寄稿していることもあって、そうした人たちの文章を読めるのも醍醐味です*1。「リベラル誌」ということで時にはかなりバイアスのかかった記事もありますが、それでもかなり勉強になります。とは言え、「何言ってんだこれ……」となることもしばしば。(苦笑)


そんなNewsweekに櫻井くんが寄稿するなんて!と驚くと同時に「絶対読まねば!」と固く決意し、発売日に即買い即読了。……で、今備忘録も兼ねてこうして綴っているところです。


読んでいて色々琴線に触れる部分はあったのですが、読了後の第一印象は「文章上手い……」でした。

慶応卒というのもそうだし、ラップを書いてたっていうのもそうなのかもしれないけど、色んなことがスッと伝わってくる文章。
例えば、震災当日~震災後初のnews zero放送までの数日間の描写は短い文章で体言止めを繰り返すことで当時の緊迫感が蘇るようでした。
そしてCMがACジャパンばかりになりテレビから芸能人が姿を消していくなか「いつもテレビで見てる顔を見られたら安心できるから」と言われ、批判も覚悟で当時の生放送に臨んだ櫻井くんの心情を思うと、しばし言葉を失います。


他にも震災から5年経っても福島を海外メディアが取材していることにショックを受けたり、実際に除染作業に携わることでその大変さを実感したり、間違いなく少しずつ進んでいる復興に胸を打たれたり、そういったことに対する彼の率直な気持ち・真摯な態度が胸を打つ、本当に素晴らしいドキュメントだと思います。
そして何より櫻井くん自身が「嵐・櫻井翔」というアイドルであることに非常に自覚的*2で、それを「ずるさ」「装置」「下駄」とまで言い切ってしまうその潔さ。でもだからこそ「拡声器」としての役割を持てるんだと言える格好良さ。
取材に行くたび何度も涙してきて被災地に行くことをためらうことも何度もあったという櫻井くん。でもそれは他人の痛みや悲しみに寄り添えるからで、やっぱり真摯な人なんだなあと感じ入るわけです。


9ページ・1万字に及ぶ今回の記事*3。個人的には「5月28日 宮城県女川町」のエピソードとSummer Splash!にまつわるエピソードが特に印象深いです。東日本大震災から10年というタイミングで櫻井くんが寄稿して色々なことを綴ったことの意味をもう少し噛み締めたいと思います。


……そういえば、震災後4月1日に放送されたMステのスペシャルに嵐が出ていて、「Lotus」「Happiness」「感謝カンゲキ雨嵐」をメドレーで披露していたなと、ふと思い出しました。

以下は、当時自分がmixiの日記に書いた文章から抜粋したものです。

相葉主演ドラマ「バーテンダー」の主題歌であるLotus、詞・曲共にtruth(大野主演「魔王」主題歌)に通じるものがある*4が、確かに“応援歌”たり得る歌詞だと気付く。ついでに、リーダーのフェイク半端なかったです。
続いてHappiness、例のランキング*5の上位にも入っていたが、これは誰が聴いても元気が出る曲だろう。
そして感謝カンゲキ雨嵐であるが、これは少し意外な選曲に思えた。が、短絡的には“感謝”を歌っているこの曲、RAPからAメロBメロと、困難にあっても支えになるもの/人がある/いるとも歌っているので、結局は納得のいく選曲だった。
そしてこの曲の時にリーダーとニノが歌ってる横で残り3人が盛り上げようとしていたのを見て、彼らは本当に被災地の方々に早く元気になってほしいと願っているのだと感じた(まぁ、櫻井くんは地震のニュースで泣き腫らしたらしいし……)。

で、改めて「Lotus」の歌詞を見たのですが、震災の復興を願って作られたんじゃないかと錯覚するくらい、ものすごく当時の状況とシンクロするような歌詞であることに驚きました。当時の最新シングルでしたが、あのスペシャルで歌われたのも納得です。


*1:例えば今回であればマルクス・ガブリエルが震災とコロナウイルスに関する論考を書いていました。それにしても同じ雑誌の中で「櫻井翔」と「マルクス・ガブリエル」が並ぶ日が来るとは……

*2:でもラップでも「大卒のアイドルがタイトルを奪い取る」と言ったこともあるし、そうした部分については元々冷静に自らを見ているのかなとも思います。

*3:日本版Newsweek編集長の長岡さん曰く、最初の原稿はもっと長かったそうですから、驚きです。

*4:作曲者のうちの一人がtruthを作詞作曲したHYDRANTさんなので、それもそうなのだという。

*5:ちなみに「元気が出る曲ランキング120」というのをやっていました。

クイーン「White Queen (As It Began)」を和訳。

今日3月8日は、'QueenⅡ'の発売日(1974年)だそうです。

'QueenⅡ'は前期Queenのアルバムで一番好きなアルバムです。レコードのA面を「サイド・ホワイト」B面を「サイド・ブラック」として、アルバムのジャケットも表面が黒で開くと白になっているというそのコンセプチュアルな部分にまず惹かれ、さらに「サイド・ホワイト」も「サイド・ブラック」も組曲風にほぼ全曲途切れず繋がっているというアルバムの構成にも驚きました。
その中でも一番度肝を抜かれたのがまさに組曲と言うべき"The March of The Black Queen"なのですが、これに続いて好きな曲が'White Queen'です。

間奏でシタール風の音色を奏でるアコギが悲哀の情を掻き立てる抒情的な曲ですが、ブライアンがインペリアル・カレッジの学生だった頃の片想いを描いた曲だそうです。それをアルバムの世界観に合わせて(Queenを登場させて)少し幻想的な雰囲気にしてるのかな?
ロバート・グレーヴスの"The White Goddess"にインスパイアされた部分もあるそうです。

今回はそんな'White Queen'の和訳です。

youtu.be


So sad her eyes
Smiling dark eyes
So sad her eyes
As it began

とても哀しげな彼女の瞳
微笑みを湛えた暗い瞳
とても哀しげな彼女の瞳
そしてそれが始まりだった

On such a breathless night as this
Upon my brow the lightest kiss
I walked alone

こんな風に 息をするのも阻まれるような夜に
僕の眉の上に 軽い口づけ
僕は独り歩いていた

And all around the air did say
My lady soon will stir this way
In sorrow known
The white queen walks and the night grows pale
Stars of lovingness in her hair

周りの空気がさざめき僕に言う
僕の愛しい人がこの道のりをかき乱すだろうと
悲しみの中で……
白い女王が歩くと 夜の闇は薄らぎ
彼女の髪には愛情の星が瞬く

Needing - unheard
Pleading - one word
So sad my eyes
She cannot see

求めは―聞き入れられず
願いは―ただ一言
なんと哀しき僕の瞳
彼女の眼に僕は映らない

How did thee fare, what have thee seen
The mother of the willow green
I call her name

汝は如何に旅をしてきたか、何を見てきたか
緑の柳の母よ
僕は彼女の名を呼んだ

And 'neath her window have I stayed
I loved the footsteps that she made
And when she came

彼女の窓の下にずっといた
彼女が立てる足音が好きだった
そして彼女がやって来た時……

White queen how my heart did ache
And dry my lips no word would make
So still I wait

白き女王よ、僕の心はどれだけ傷んだことでしょう
渇き切った唇からは一言も言葉が出ない
だからまだ僕は待つ

My Goddess hear my darkest fear
I speak too late
It's for evermore that I wait

僕の女神よ、底知れぬ恐怖をお聞きください
もう手遅れなのでしょうか
永遠に待つ他ないのか……

Dear friend, goodbye
No tears in my eyes
So sad it ends
As it began

親愛なる友よ さようなら
もう涙も出てこない
何と悲しき終わり
そしてここからまた始まる……

Daft Punk feat. Paul Williams「Touch」を和訳。

youtu.be

Touch, I remember touch
Pictures came with touch
A painter in my mind
Tell me what you see

手触り、僕は感触を覚えてる
絵は手触りとともにやってきた
僕の心の中の画家
何が見えるか教えてくれ

A tourist in a dream
A visitor it seems
A half-forgotten song
Where do I belong?
Tell me what you see
I need something more

夢の中の旅行客
半ば忘れ去られた歌
みたいな訪問者
僕はどこに所属しているんだ?
何が見えるか教えてくれ
僕にはもっと何か必要なんだ

Kiss, suddenly alive
Happiness arrive
Hunger like a storm
How do I begin?

キスで突然生きた心地
幸せがやってくる
嵐のような渇望
どうやって始めたらいい?

A room within a room
A door behind a door
Touch, where do you lead?
I need something more
Tell me what you see
I need something more

部屋の中の部屋
ドアの裏側のドア
手触り、どこへ導くの?
僕にはもっと何か必要なんだ
何が見えるか教えてくれ
僕にはもっと何か必要なんだ

Home
Hold on, if love is the answer you're home
Hold on, if love is the answer you're home
Hold on, if love is the answer you're home
Hold on, if love is the answer you're home
Hold on, if love is the answer you're...


そのままでいて、もし愛が答えなら君は家だ
そのままでいて、もし愛が答えなら君は家だ
そのままでいて、もし愛が答えなら君は家だ
そのままでいて、もし愛が答えなら君は家だ
そのままでいて、もし愛が答えなら君は……

Touch, sweet touch
You've given me too much to feel
Sweet touch
You've almost convinced me I'm real
I need something more
I need something more

手触り、優しい手触り
感じるには多すぎるものを僕にくれた
優しい手触り
もう少しで僕が本物だと納得させるところだった
僕はもっと何か必要なんだ
僕はもっと何か必要なんだ



解散が発表されたダフトパンクの'Random Access Memories'より。



youtu.be

ペット・ショップ・ボーイズ「Nothing Has Been Proved」を和訳。

Mandy's in the papers 'cause she tried to go to Spain
She'll soon be in the dock and in the papers once again
Vicki's got her story about the mirror and the cane
It may be false, it may be true
but nothing has been proved

マンディは新聞に載ってる、スペインに行こうとしたから
もうすぐで埠頭に着く、そうしたらまた新聞に載る
ヴィッキーは鏡と杖に関する話を手に入れた
間違っているかもしれないし 正しいかもしれない
だけど何も証明されてない

Stephen's in his dressing gown now breakfasting alone
Too sick to eat, he's on his feet and to the telephone
The police inspector soothes him with his sympathetic tone
It may be false, it may be true
but nothing has been proved

ティーヴンは今 ガウンを羽織って独り朝食中
食事するには体調が悪すぎる、立ち上がって電話に出る
警部は同情的な調子で彼をなだめる
間違っているかもしれないし 正しいかもしれない
だけど何も証明されてない

In the House a resignation, guilty faces every one
Christine's fallen out with Lucky, Johnny's got a gun
Please Please Me's number one

(It's a scandal, it's a scandal, such a scandal)

議会では辞任があり、罪の意識が全員に直面する
クリスティーンはラッキーと仲違いして、ジョニーは銃を手に入れた
「プリーズ・プリーズ・ミー」が一番だ

(それはスキャンダル、相当なスキャンダル)

Now Stephen's in the dock for spending money that was earned
by Christine and the prosecution says that money burned
a hole in Stephen's pocket, for expensive sins he yearned
It may be false, it may be true
but nothing has been proved

ティーブンは今埠頭にいる、クリスティーンが稼いだ
お金を使うために そして検察当局によれば
ティーブンはお金を使いたくてうずうずしていたという
彼が憧れていた 高価な罪のために
間違っているかもしれないし 正しいかもしれない
だけど何も証明されてない

In the news the suicide note, in the court an empty space
Even Mandy's looking worried, Christine's pale and drawn
Please Please Me's number one

(It's a scandal, it's a scandal, such a scandal)

ニュースでは遺書が流れ 法廷には空きスペース
マンディでさえ心配そうにしていて クリスティーンは青ざめやつれている
「プリーズ・プリーズ・ミー」が一番だ

(それはスキャンダル、相当なスキャンダル)

Last night he wrote these words to his friend
'Sorry about the mess
I'm guilty 'til proved innocent in the public eye and press'
The funeral's very quiet because all his friends have fled
They may be false, they may be true
they've all got better things to do
They may be false, they may be true
but nothing has been proved
No, nothing has been proved

昨晩彼は友人に宛ててこれらの言葉を書いた
「混乱させて申し訳ない
公衆の目とマスコミに無実だと証明されるまで 私は有罪だ」
葬儀はとても静かだった 友人たち全員が逃げたから
彼らは間違っているかもしれないし 正しいかもしれない
彼らにはなすべきより良いことがある
彼らは間違っているかもしれないし 正しいかもしれない
だけど何も証明されてない
いや、何も証明されてない



元々映画「スキャンダル」(1989)*1の主題歌としてダスティ・スプリングフィールドに提供されたもの。ダスティ版のPVにはPSBの二人も登場、ニールは一部でボーカルを取っています。
ペット・ショップ・ボーイズ版はダスティ用のデモ音源と、BBCラジオで放送されたライブ音源('Concrete'に収録)が存在します。
youtu.be
youtu.be


映画「スキャンダル」は1963年に起こった「プロヒューモ事件」を元にしたもの。これは、当時マクミラン政権の陸相だったジョン・プロヒューモが、ソ連側のスパイとも繋がりがあったモデルで娼婦のクリスティーン・キーラーに国家機密を漏洩したと疑われた事件。
キーラーと関係を持った男性が銃撃された事件に対して「ある傷害事件の証人として出廷を命じられたキーラーと閣僚の一人が関係があり、国家の安全のために事件を追及すべきだ」と下院で追及があり、プロヒューモは初め身の潔白を主張。しかしその前後でマスコミがキーラーとソ連側のスパイとの関係を報じたことで「『プロヒューモ事件』は、単なる閣僚の女性スキャンダルから、『軍事機密情報の漏洩』という国家安全に関わる問題となる」(by Wikipedia)。これが、簡単な「プロヒューモ事件」のあらましです*2
映画はクリスティーン・キーラー目線で描かれ、この曲はプロヒューモをキーラーに紹介したオステオパシー医のスティーブン・ウォード*3を主人公にしています。

さて、「プリーズ・プリーズ・ミー」 といえばビートルズですが、ちょうどこのプロヒューモ事件が騒動の渦中にあった頃に全英1位を獲得したそうです。最後のバースの1行目(Last night...)は「プリーズ・プリーズ・ミー」の歌い出し*4を参照しているとか。*5

ところで、四つ目のバースは文の切れ目が物凄く不自然です。あえてちゃんと(?)文にするなら

Now Stephen's in the dock for spending money that was earned by Christine
and the prosecution says that money burned a hole in Stephen's pocket, for expensive sins he yearned

……となるはず。
じゃあなぜ?と思ったら'earned''burned''yearned'で韻を踏ませるためなんですよね。しかも2行目の頭'by Christine'と3行目の頭'a hole in'もさりげなく韻を踏んでいてただただすごい。

*1:単なる偶然でしょうが、Queenの"Scandal"も1989年リリースです。

*2:結果的にプロヒューモは陸相を辞任。マクミラン宛の手紙の中で「国家機密漏洩はなかった」としています

*3:彼は「不道徳な罪」で起訴され、最終的に睡眠薬の多量摂取により、判決が発表される前に自殺。これが「何も証明されていない」の理由。

*4:Last night I said these words to my girl

*5:http://www.geowayne.com/newDesign/other/noth 参照。